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幸福王子 個人的雑感

ROCK READING「幸福王子」を観てきました!

いろいろ感想が出てくる舞台なのですが整理してると千秋楽になっちゃいそうなので個人的に考えたことをぽつぽつまとめてみました。

(東京公演しか行っていないです)

脳内ゆるゆるオタクがない語彙力を掻き集めたような文章なのでその点はあしからず。

 

以下、ネタバレ含みます。

 

 

ROCK READING とはなんぞや

舞台が発表されたときからずっと「ろっくりーでぃんぐとは何だろう」と思っていました。恐らく様々な媒体で説明はされていましたが、あまりイメージが付かず・・・。まあ見れば分かるだろうと思って劇場に迎いました。

 

初回前にたまたま購入していた「STAGE navi vol.48」に今作の演出家、鈴木勝秀さんのインタビューが掲載されていてその中に「演劇は音のメディアであり、音楽が主役」という趣旨の発言がありましたが、「幸福王子」も全体が一つの音楽として存在していたなあと思いました。舞台はまずバンドの方が出てきてイントロ部分を演奏し、演者が登場、ラストも徐々に演者がはけていき最後は王子の独白のような場面になるのですが、王子の最後の台詞以降はバンド演奏で締められていて、まさにバンドで始まりバンドで終わるという感じ。

作中でもバンドの方が、演者の後ろに観客からも見える形で演奏されていました。劇中歌やBGMだけでなく効果音も生バンドで表現されており、「ここでなっているのはフルートか!」「この音はあれでならしているのか」など色々発見があって非常に面白かったです。バックバンドというのは台詞という主役を引き立たせるものという印象が強いですが、「幸福王子」では台詞や掛け合いの締めに使われていたりと要所要所で存在感があって観劇後もここでこういう音が鳴っていたなと印象に残るものでした。

 

 

 こんぴーと小川くんに関して

まずは一言、

ツバメ、めっちゃ可愛かった!!!!

 

こんな素晴らしい舞台、そしてキムタクを尊先に挙げカッコイイを目指しているであろうこんぴーに対してあげる感想の第一声が可愛いというのは我ながら情けないのですが、本当に可愛らしかったです。こんぴーの声質は澄み切った感じで声も伸びるのでバンガナのこんぴーパートやロリコスの落ちサビとかでも綺麗だなと思っていましたが、「幸福王子」で本当に美声を生まれながらに持っているのだなあと感じました。正直、ツバメが舞台に出てきたとき「すげえ柄の悪いツバメが来たな」と思ってしまったのですが、そのツバメの一番最初の台詞がまさかの「きみを好きになっていいかな」と優しく囁くというもの。いわゆるイケボとはまた違い、甘さの中に子供らしさ、無垢さも籠もっていて溜息が溢れそうになりました。

見た目とのギャップという意味では小川優くんにもびっくり。今まで抱いてたイメージが矢花くんとのパスワードセッション動画での金髪のすごくヤンチャなお兄さんというものだったのですが(舞台でもリーゼントだった)、「幸福王子」ではとても爽やかな声でした。小川くんはストーリーテラーの一人という役だったのですが、物語や他の演者さんと喧嘩しない癖のないすっきりした声をされていたという印象です。劇全体で声色が大きく変化するという役柄ではありませんでしたが、王子からサファイアをもらった女の子の「まあ綺麗なガラス玉」という台詞が語り部らしい爽やかさと女の子の可愛らしさがあって毎回楽しみにしていた部分でした。

本髙くんに関しては最後に。

 

王子への個人的見解

まず、はじめに王子への解釈というのが一人一人の倫理観に関わってくる問題だろうなと前置きさせていただきます。これはあくまで私個人の解釈なので・・・。

 

観劇を通して抱いた王子への印象は「ひどい奴だな」ということです。

基本的に王子のやっていたことは原作と変わらないのですが、「自分に価値を持たせていた宝石や黄金をツバメに運ばせる」と言う行為が自分の気持ちを軽くするためにツバメを巻き込んでしまったという風に私には見えてしまいました(小さい頃に童話を読んだ際には特に思わなかったのに・・・)。王子は生きていた頃に自分が民衆を搾取する側にいて自分の幸せを引き替えに苦しむ人がいるという事実に耐え切れなかったのだろうなと思いますが、結局やっていることは人を救おうとしているというより罪悪感から逃げいているだけの気もします。王子の台詞で引っかかったのが、「生前の自分は塀の中にいて塀の外の現状を知らなかった」(要旨)というもので、何となく生前の自分は悪くないと思いたいんだろうなというのが透けている気がしました。「行動において重要なのは結果ではなく意図」「両目がなくなって肩の荷が軽くなった」といった台詞も、「惨状に対して何もできないことに耐えられない」からそこからひとまずにげたいんだろうなあ、と。ずるい奴ですね

また個人的に、王子の「重要なのは結果ではなく意図」と言う部分にとてもキリスト教らしさを感じました。昔キリスト教系の学校で学んでいた時期があったのですが、そこでも支援活動をする際にただ募金するのではなく「どうして自分がその支援を行いたいのか」を考えさせられる機会が設けられており、それについて1日考えられなかった人は募金してはいけないという風潮でした(実際には適当に折り合いをつけているだけの人が多かったですが笑)。母校での話は少し王子の趣旨とは異なりますが、結果ではなく意図に関心を持つという点では通ずるものがあるのかなあ、と。そもそも、自分の身を犠牲に誰かを助ける、というのはかのイエスキリストも行っていたことですし、神に対して否定的な王子の根幹にはキリスト教的なものが存在していたように感じます。

王子の内面ってこのようによくよく考えると矛盾していたり、合理的な考え方のフリをして感情的に物事を捉えていたりと、私個人は共感できる部分は少なかったです。ただ、王子からしてみれば私のとらえ方こそ、苦しんでいる人から目を背けてると言われそうだし(実際そうだし)、ツバメは(色々事情は合ったと言え)王子に惹かれて王子に身を捧げているわけなのであまりとやかく言うのも野暮かもしれませんが。そもそも王子の正しいことをまちがっているというのも独善的ですしね。

 

一方で、王子の人柄はかなり魅力的だなと感じました。

王子の言葉選びは非常に合理的で自信に溢れていて、特に信念らしい信念がない一般人の場合納得させられそうになります。王子がゼロサム理論を用いて社会の不条理を説く歌は一種のプロパガンダのようにさえ思いました。

時々、素の部分が出ていたのもずるかった。一応自分が悪いときは謝れるし(逆ギレするけど)、ツバメに頼み事をするときも多分相手が断るとは思っていないんだろうなという感じだったりといいとこで育った坊ちゃん感満載で、こういう人間に振り回されるいい人色んなところで見てきたなあと・・・。

 

あと他人の話を聞かない奴は他人を狂わせるということを再認識しました。

 

本髙くんに関して

はじめて見たときの感想は、全然知らない本髙くんだったなということです。

 

今回が初めての現場だったのでお前が本髙くんの何を知っているんだ、という感じですが、好きになってからずっと本髙くんに抱いている印象が「よくわからない人だな」ということ。本髙くんって各媒体で色々な表情を見せてくれるなあと思っていて、クイズ番組では早稲田理系らしい頭が良くてしっかりしている感じ、でも魚について語っているときはオタク男子そのものだし、YouTubeではツッコミ兼いじられキャラ、Island TVはあざとキャラだし、でも雑誌では色気たっぷりな時もあれば可愛いときもあるし・・・と一言で本髙くんはこういう人です!と自分の中で説明できないんですよね(そういえばサムパラで二重人格と言われていた)。

でも、今回の幸福王子の本髙克樹は今まで知っていた色々な本髙くんとはまた違う部分が出ていました。歌も声も演技も(ビジュアルも笑)他の媒体の本髙くんには見られないものでした。観劇期間ずっと感じていたのが、幸福王子の本髙くんは宝塚の男役トップのような雰囲気だったなと。見た目はどことなく中性的だったけど、非常に男らしい圧倒的なオーラを身にまとっていた。そんな風に思います。特に、ゼロサムの歌で一瞬本髙くんの台詞で曲が止まり赤い照明に照らされる場面があるのですが、まるで空間を支配しているようだったあの瞬間は今でも鮮明に覚えています。

個々の部分をとりあげると全てのシーンを書くことになるので割愛しますが、一番のお気に入りはやはりゼロサムの歌ですね。長々と難解なことを語りかけて先導する幸福王子、非常に解釈通りでした!(何様やねん)この曲で思ったのが、本髙くんって世界観側の人間似合うなあということ。どういうことかというと、恐らく創作物、特にファンタジー系では一つの世界観に元から存在する人と新たにやってくる人がいると思うのですが(今回は一応元から世界観には存在していますがツバメが王子の側に来る立場だと思います)、本髙くんは元からその世界にいるように感じるんですよね。なんというか存在が非現実的だけどナチュラルで世界観のなかにいることに違和感がない感じ(脳ポイでも非現実側にいる役でしたね)。勿論、顔面が二次元よりであるというのもあると思うのですが、演技とか発声とかでも自然に溶け込んでいるなあと思います。

 

 

正直、個々のシーンではまだ解釈が固まりきってない部分も多くて(例えば、ラストの「私」って誰なんだろうとずっと思っています)まだまだ考えが止まらないのですが、纏まりがなくなりそうなのでひとまず今回はこの辺で・・・。

 

とにかくエイベックスには円盤を売って欲しいです。

音源か台本でもOKです(強欲)。

あとステフォも欲しい。